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三洋化成ニュースNo.550
2026.01.16
洗剤はもちろん農薬や印刷、繊維加工など多くの分野で、長年にわたって活躍している湿潤・浸透機能に優れた界面活性剤を紹介します。


農業用粒剤に
界面活性剤は、ドレッシングでいえば水と油、泡でいえば水と空気のように、異なる性質の成分が接する界面に集まり、洗浄や起泡、湿潤、浸透といった機能を発揮する物質の総称です。一般的には洗剤に使われていることでも知られているため、汚れを洗い流す洗浄や、泡を立てる起泡といった機能はよく知られています。一方で、水などの液体を物体の表面ではじかれることなくぬれ広がりやすくする湿潤機能や、素材の内部や隙間に染み込みやすくする浸透機能なども界面活性剤の重要な働きの一つです。これらの機能は日常生活から産業用途まで幅広く活用されています。
例えば農業分野では、界面活性剤の湿潤機能を使って、通常は液体をはじきやすい葉っぱの上に農薬を広く付着させて効果を高めます。
また印刷分野では、にじみを防いで印刷物をきれいに仕上げるために、界面活性剤の浸透機能を使ってインクを素早く紙に染み込ませる工夫が施されています。
界面活性剤は、水になじみやすい親水基と油になじみやすい疎水基からなる分子構造を持っている物質で、さまざまな機能を発揮させるためには、そのバランスが重要になります。
また、親水基のイオン性(アニオン性、カチオン性、両性、非イオン)や種類(カルボン酸型、スルホン酸型、硫酸エステル型、リン酸エステル型)、疎水基の本数(真っすぐか、枝分かれしているか)や構造(長さ)などによっても、洗浄、起泡、湿潤、浸透の、どの機能を強く発現するかが変わってきます。
アニオン界面活性剤を例に取ると、疎水基では、1本の真っすぐな構造(ドデシル系など)を持つものは界面に密に並び、泡が壊れにくく汚れも取り込みやすいため、泡立ちや洗浄力に優れるものが多く存在します。
一方で疎水基が2本の構造を持つアニオン界面活性剤は、1本のものに比べて分子が広がった形状をしているため、密集せずに界面に広がりやすい特徴があります。水がまとまろうとする力(表面張力)を低下させるため、湿潤や浸透機能を高めることができます。
2本の構造を持つアニオン界面活性剤の代表的なものは、親水基にスルホン酸基(–SO3–)を持つスルホサクシネート型です。なかでもその疎水基が枝分かれしたジオクチルスルホサクシネートは、分子がコンパクトで界面への移動が速く、特に湿潤・浸透性に優れています。
また、油滴や粒子と水との界面に素早く移動して界面張力を低下させ、油滴や粒子を細かく分散するため、乳化や分散性にも優れています。界面に強く吸着して油滴や粒子をしっかり被覆するため、油滴同士や粒子同士が再び凝集するのを防ぎ、長時間にわたり安定した乳化・分散状態を維持できるという特徴もあります。

このジオクチルスルホサクシネートの構造を採用した界面活性剤が『サンモリン OT-70』です。三洋化成では50年以上前から販売しており、長年ご愛用いただいています。『サンモリン OT-70』は、界面活性剤の機能のなかでも、特に湿潤・浸透性に優れ、乳化、分散性なども併せ持つことから、こうした特性を生かせる幅広い用途に活用されています。
洗剤分野では、クリーニング用の洗剤や工業用洗剤、家庭用洗剤などに活用されています。浸透性が高く、洗浄力の高い他の界面活性剤と併用することで、その効果を高めることから、頑固な汚れを落とす強力な洗剤に使われることが多くあります。
また繊維加工の分野では、染色や柔軟加工の際、繊維に染料や柔軟剤が染み込みやすいよう、浸透性を付与する薬剤として使用されています。
さらに塗料やインキの分野では、粒子を溶媒にぬれやすくし粒子分散を容易にする特性を生かして、顔料や、つや消し剤などの無機粉体の分散剤としても活用されています。
この他にも、はじめに紹介したように、印刷や農薬などでぬれ性向上や浸透性付与に使われるほか、水性塗料や接着剤の製造時に利用される乳化剤など、多様な分野のニーズに応えています。
『サンモリン OT-70』は、発売から50年以上が経つ製品ですが、今なお新規で採用されるケースもあるほど、その性能が高く評価されています。今後も優れた湿潤・浸透性を中心にし、さまざまな分野での製品開発において選ばれる添加剤であり続けることを目指しています。
また三洋化成では、『サンモリン OT-70』のようなロングラン製品だけでなく、浸透力をさらに高めた製品や、環境対応型の製品など、新たな界面活性剤の開発にも取り組んでいます。
今後も積極的に新しい価値を提供し、より社会に役立つ製品づくりを進めていきます。
