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水の少ない環境下で土壌の保水力を向上させる

三洋化成ニュース No.520号

水の少ない環境下で土壌の保水力を向上させる

2020.05.19

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さまざまな植物は、私たちの食生活を支え、癒やしを与えるとともに、地球環境を保つための大きな役割も果たしています。この植物に欠かせないのが水。長年培った技術を応用し、この水を効率的に与え、植物の生育に理想的な環境をつくり出す製品を紹介します。

植物の生育にとって「良い土」を作り出す土壌改良材

植物は全体の約9割が水分で構成されており、内部の水が減ってしまうだけで生命活動を維持できず枯れてしまいます。また水は、土壌中から吸収した養分を上部まで運ぶ役割を果たすとともに、光合成にも活用されており、植物にとっては欠かせない存在です。ただ一方で、水を必要以上に与え過湿状態が続くと、酸素不足を起こし、根腐れの原因になることもあります。そのため植物を育成するうえでは、過不足のない適度な水分管理が極めて重要になります。

この水分管理に大きな役割を果たすのが土です。植物の育成に適した「良い土」は、水分・養分・酸素が豊富に含まれている状態。黒色を帯びた軟らかい土が理想で、パサパサした硬い土は生育に適さないとされています。そのため植物を植える際には、鋤やトラクターを用いて土を耕し、肥料などを与え環境を整えます。さらに必要な場合には、土壌の保水性や通気性、養分を保つ保肥性などを向上させる土壌改良材を使用し、植物がより良く育つ「良い土」を作り上げます。

 

水やりが困難な場所や異常気象による課題を解決する土壌保水剤

これらの土壌改良材のなかで、土壌中の水を保持・供給する材料が土壌保水剤です。

乾燥地や山間部・傾斜地といった水やりが困難な地域や、広い範囲の農場などは、水やりにかなりの労力が必要になります。土壌保水剤は、こうした水やりに課題を持つ土壌で、植物に継続的に水を供給し、水やりの回数を減らす役割を果たします。

また、気象変動による干ばつなどに対しても安定した保水力を維持できるため、植物を枯らさず育成することができます。

土壌保水剤は従来、天然由来のものから炭まで幅広いものが使用されていますが、保水効果の大きいものとして高吸水性樹脂(Super absorbent polymers :SAP)も用いられます。SAPは、紙おむつなどの衛生用品や医療用資材の原料として世界中で広く使用されている製品です。三洋化成では1978年に世界に先駆けてSAPの商業生産を開始し、さまざまな用途に活用範囲を広げてきました。

 

SAPを土壌改良材用に応用した『サンフレッシュGT-1』

SAPの一般的な組成は架橋ポリアクリル酸ナトリウム塩で、親水性の高い樹脂がつながった網目構造をしています。水と接触すると樹脂内外のイオン濃度の差による浸透圧で、網目構造に自重の約400倍の水を吸収することができます。このSAPの技術を、土壌改良に応用した製品が『サンフレッシュGT-1』です。

一般的なSAPは、吸水ゲルが根の成長を阻害したり、植物の成長に必要なカルシウムを吸収したりしてしまうという課題がありましたが、『サンフレッシュGT-1』はこれらの課題を解決。多量の水分を吸収・保持し、土壌の乾燥にともなって徐々に水を放出するうえに、水の吸収・放出に伴う空間が、根への空気の供給を良くする作用も促します。

 

 

『サンフレッシュGT-1』は、2002年に商品化されてから、丘陵地での果樹の栽培をはじめ、道路の法面の緑化工事などにも活用されており、各方面から高い評価を得ています。

 

SDGsのさまざまな目標に貢献できる製品

近年は夏場の気温上昇により、植物生育への懸念や作業環境の悪化などの課題が深刻になっていますが、『サンフレッシュGT-1』を使用することで、水やり回数の低減に伴う農家の省力化はもちろん、水資源の有効活用にもつながります。さらに、植物が根付く活着率が上がるため、作物の収穫量アップも期待できます。

その意味で『サンフレッシュGT-1』は、SDGsで提唱されている、食糧問題や気候変動への対策、さらには働き方改革などにも貢献できる製品といえます。三洋化成では、今後も長年培ってきたSAPの技術力を農業や環境緑化などの分野にも広げながら、社会に貢献していきます。

 

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