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快適な乗り心地を作るクッション機能

三洋化成ニュース No.503

快適な乗り心地を作るクッション機能

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2017.07.01

自動車の座席として、運転する人や乗る人が長時間触れるカーシート。乗り心地を良くするためには、振動を吸収しつつ適度な反発性を与える、クッション機能が必要です。今回は快適なクッション性を可能にするカーシート用ウレタンフォームについて紹介します。

 

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乗り心地と振動の関係

自動車の乗り心地はカーシートで決まるといっても過言ではありません。カーシートには道路や車体から伝わる振動の吸収の他に、姿勢の維持、座圧の分散やフィット感、通気性などによる座り心地、耐久性などさまざまな機能があり、これらが快適な乗り心地を作り出しているのです。

初期のカーシートは、スプリングに馬毛やシュロなどを組み合わせて、表面を本革などで覆っていました。道路の衝撃を吸収し、体の座面への当たりを柔らかくする役割を果たしていました。その後ウレタンフォームなどに置き換わり、1980年代以降、特に人間が不快と感じる6㌹周辺の振動を低減して、不快な気分を和らげるなど、より快適な乗り心地を提供するための開発が進められています。

 

粘性と弾性が生み出すクッション性

乗り心地を向上させるには、振動吸収に加えて適度な反発性などが必要です。振動吸収性と反発性の両方によって満たされる機能をクッション性といい、振動を吸収する粘性とバネのように元に戻ろうとする弾性のバランスによって快適なクッション性が作られます。

カーシートは柔らか過ぎても、硬過ぎてもいけません。柔らか過ぎると体が沈み込んでしまい、姿勢が悪くなって腰痛や疲労の原因になってしまいます。体にフィットする程度の柔らかさで、適度な硬さのシートにすると、体と接する面が増えて体重が分散され、体が支えられるため疲れにくくなるのです。

現在のカーシートには、クッション性を出すためにウレタンフォームが使われています。多孔性のため軽く、さまざまな形状を作りやすいという特徴があります。ウレタンフォームには軟質と硬質があり、カーシートには体重などで変形しても元に戻る軟質フォームが用いられています。ウレタンフォームはポリオールとポリイソシアネートに発泡剤(水)を加え、混合発泡させて作られます。

カーシートにウレタンフォームが使われるようになったのは1958年頃からです。三洋化成は1960年代にウレタンフォームの原料であるポリオール(PPG*)を日本で初めて生産。当時のカーシートは出来上がったフォームをスライスし、それを張り合わせて作られていましたが、現在は金型を使用した成形が主流となっています。*PPG:ポリプロピレングリコール

(画像左:ウレタンフォームの表面)

 

 

 

 

さらなる快適性や環境対応ニーズも

近年、カーシート用ウレタンフォームのさらなる快適性向上に向けて、新しい機能に対するニーズが高まっています。その一つが、長時間走行しても疲れにくいよう、姿勢を維持したり、カーブなどで遠心力が働いても体がずれたりしないようにするホールド性の付与です。ウレタンフォームの発泡をコントロールすることで表層が柔らかく下部が硬いシートを作るなど、ホールド性を高めるための開発が行われています。

また、健康面や環境面への配慮が求められるようになっています。密閉空間である車内では、VOC(揮発性有機化合物)の低減が重要な課題となっており、ウレタンフォームにも低VOCのニーズが高まっています。界面活性剤の分子は疎水部分と親水部分で構成されています。三洋化成は、これまで培ってきた界面活性剤の設計技術に加えて、コンピュータシミュレーションによる分子の動き予測や、大型放射光施設SPring-8を使ったミセル(界面活性剤の会合体)の構造解析などにより分子構造を最適化し、洗浄性と生分解性を両立できる界面活性剤を見出しました。

 

VOC低減に加え高い反応性を発揮する三洋化成の製品

三洋化成は、早くからウレタンフォーム用ポリオールの開発に取り組み、現在は環境配慮型や高い反応性が得られる製品を数多く提供しています。各種分子量を取りそろえたポリオール『サンニックス』シリーズ、三洋化成独自の技術によりエチレンオキシドを使わなくても高い反応性が得られる『プライムポール』などが代表例です。

三洋化成では、お客様のニーズに合わせてより快適性や環境性を高めるウレタンフォーム原料の開発に努めていきます。

 

 

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