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[vol.10] 怒ることに自信を持てるようになる習慣

三洋化成ニュース No.535

[vol.10] 怒ることに自信を持てるようになる習慣

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2023.01.09

安藤 俊介

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前回、怒れない人と怒ることに苦手意識のある人の、怒れない3大理由を解説しました。

3大理由は、「良い人でいたいと思っている」「怒ることを恥ずかしいことと思っている」「怒り方がわからない、怒ることが苦手」の三つでした。

今回は怒ることに自信が持てるようになる習慣を紹介しますが、これらの習慣の目的はどれも自己肯定感を高めるものです。怒ることに自信を持てるようになるかぎは自己肯定感の高さにあります。

なぜ自己肯定感を高めるのかといえば、自己肯定感が高い人はためらうことなく、上手に怒ることができます。

一方で自己肯定感の低い人は、怒った時に相手をコントロールできなければ負けだと思い、自分を正しいと思えなくなってしまいます。自己肯定感の低い人は他者からの評価で自分の価値を確認します。自分で自分のことを評価することが苦手です。

だから、誰かに怒るとして、相手に言うことを聞いてもらえなかったら、それは自分の言うことに価値がない、ひいては自分に価値がないかのように思うのです。

それは避けたいので、必要以上に強く怒ったり、声を荒らげて相手を屈服させようとしたり、逆に怒らないことで自分の価値が低いと思えるような場面を作ったりしないのです。

自己肯定感を高めたいのですが、無理に高めようとは思わないでください。なぜなら高めようとしてうまくいかなければ、逆に自己肯定感を下げてしまうからです。

ここで紹介する習慣術を続けることで結果的に自己肯定感が上がります。自己肯定感を高めなければいけないと気負わずに、のんびりとマイペースに取り組んでみてください。

 

習慣術その1 マイナスの感情をなかったことにしない

怒れない人は、怒りはもとより、不安、つらい、苦しい、悲しい、寂しい、心配などの一般的にいえばマイナスと思われている感情から目を背ける傾向があります。

自分の感情を直視することが苦手なので、その感情を感じたとしても、それを表現したり、言葉にして誰かに伝えたりすることがなかなかできません。

なぜマイナスの感情を受け止めることが苦手なのかと言えば、こういう感情は感じてはいけない、感じる自分に何か非があるのではないかという思い込みがあるからです。

私たちに備わっている感情は、それが好きとか嫌いとかに関係なく、どれも自然な感情であり、必要なものです。その感情を持つことそのものは悪いことではなく、その感情を持った時にどう考え、行動できるかが大切です。

自分の感じた感情を否定することは、自分自身を否定することになるので、やはり自己肯定感を下げます。

そこで自分が感じる、特にマイナスと思える感情について、感じたら書き留めることを始めましょう。メモの方法は何でも構いませんし、決まった書式もありません。その場で感じた気持ちを書き留めるだけです。

そこでなぜ自分がそう感じるのかなど、考える必要はありません。ただ書き留めることに意味があります。これは自分が感じたものから目を背けたり、なかったことにしたりしないためなのです。

 

習慣術その2 小さな幸せを見逃さない

毎日の生活で感じた小さなハッピーを見逃さないことです。これが意外に難しいと思います。なぜなら、私たちは毎日の変わらない生活のなかにある小さな幸せ、喜びに気付いていないからです。

幸せというと何か大きなこと、目標が達成できた、欲しかったものが買えた、誰かに喜んでもらえたなど、がんばった結果得られるものと思うかもしれません。

しかしここで言う小さな幸せとは、そういう類いのものではなく、天気が良かった、ランチがおいしかった、信号の変わるタイミングが良かったといった、毎日感じてはいるけど、特に意識もしていないし、それが幸せなこととも思っていないようなことです。

幸せはこれから手に入れるものではなく、既にあるものを見つけることです。幸せな人とそうでない人の違いがあるとすれば、身の回りの既に「ある」幸せを感じられているかどうかに尽きます。

これも習慣術その1と同様、既に「ある」幸せを見つけたら、そのことをメモしてください。自分が思っている以上の幸せに囲まれていることに気付くことは自己肯定感を上げてくれます。

 

安藤 俊介〈あんどう しゅんすけ〉

一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事。日本におけるアンガーマネジメントの第一人者。アメリカのナショナルアンガーマネジメント協会では15人しか選ばれていない最高ランクのトレーニングプロフェッショナルに、アジア人としてただ一人選ばれている。『アンガーマネジメント入門』(朝日新聞出版)、『怒れる老人 あなたにもある老害因子』(産業編集センター)ほか著書多数。

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