三洋化成グループは、環境ニーズに応えるパフォーマンス・ケミカルス製品群を提供し、持続可能な社会の実現に貢献します。

CO2削減貢献量とは

CO2削減貢献量とは、従来の製品・サービスと新たな製品・サービスのCO2排出量の差分であり、製品・サービスを通じて社会全体の気候変動の緩和への貢献を定量化したもので、一般的に、以下のとおり算定されます。

【CO2削減貢献量の算定式:従来製品と新製品の排出量差分×販売量or生産量or出荷量...etc.】

  • このように、CO2削減貢献量の算定式には製品やサービスの販売量などが含まれているため、CO2削減貢献量は売上や企業の生産能力と相関がある指標と考えられています。
  • 算定方法や開示に関する規則は WBCSD(World Business Council for Sustainable Development)による ”Guidance on Avoided Emissions”や業界団体などのイニシアチブを中心に議論がされていますが、現在では算定方法に関する国際的な標準規格の策定は途上です。今後、標準化される可能性のある算定方法が、当社が参照する方法と異なる場合や、改訂される場合などに合わせて、CO2削減貢献量算定結果を見直していきます。

CO2削減貢献量の概念図

  • 出典:WBCSD/Net Zero Initiative 「Guidance on Avoided Emissions: Helping business drive innovations and scale solutions towards Net Zero」(2023)

使用段階でのCO2排出削減貢献の考え方

当社では、主なCO2削減貢献製品を「直接貢献」と「間接貢献」の2つのカテゴリーに分類し、製品ライフステージにおける使用段階や廃棄段階でのCO2排出削減量のインパクトを導き出しています。「直接貢献」および「間接貢献」の定義は、以下のとおりです。

  • 直接貢献:当社製品単体の性能が直接的にCO2排出量削減に貢献するもの
  • 間接貢献:当社製品が搭載された顧客の製品や装置がCO2排出量削減に貢献することで、間接的にCO2排出量削減に貢献するもの

主な環境貢献製品例

※横スクロール出来ます。

カテゴリー 製品例 貢献のポイント
直接貢献 アクルーブ
(潤滑油添加剤)
自動車の省燃費への貢献
サンエレック
(特殊電子部品用薬剤)
コンデンサの長寿命化による過剰生産抑制への貢献
間接貢献 ケミチレン
(特殊繊維用薬剤)
再生可能エネルギー普及への貢献(風力発電など)

削減対象となる製品ライフステージ

補足情報

  • CO2削減貢献量の算定にあたり、調達段階と製造段階については、比較対象となる当社既存製品との差異が小さいため除外し、使用段階と廃棄段階のインパクトから算出しています。
  • CO2削減貢献量算出においては、可能な限り実績(見通し)値や公知情報を用いていますが、入手困難な場合には前提やシナリオを設定して算出しています。
  • 開示内容について、外部の専門家のチェックを受けています。

参考にした主なガイドライン

  • WBCSD/Net Zero Initiative 「Guidance on Avoided Emissions: Helping business drive innovations and scale solutions towards Net Zero」(2023)
  • 日本化学工業協会/バリューチェーンGHG削減貢献量の算定・報告ガイドライン

潤滑油添加剤『アクルーブ』

アクルーブは、摩擦を低減し機械を円滑に稼働させるために不可欠な潤滑油に粘度指数向上剤として添加されます。
液体の粘度は一般的に高温で低く、低温で高くなる性質があるため、広範囲の温度(約-30℃〜150℃)で使用される潤滑油の粘度の変動を抑える粘度指数向上剤は、潤滑油の性能を大きく左右します。
粘度指数向上剤の主成分油溶性ポリマーは、高温時には分子鎖が広がりオイルの粘度低下を抑制し、低温時には分子鎖が収縮して粘度上昇を防ぎます。これにより、省燃費とエンジン保護を両立する潤滑油が実現します。
当社のアクルーブは、メタクリレート系ポリマーを主成分とする粘度指数向上剤で、基油に適切に配合することで優れた粘度特性を持つ潤滑油が調整できます。自動車用エンジン油や駆動系油など幅広い用途に使用され、省燃費およびCO2排出量削減を通じてエネルギー問題や気候変動対策に貢献しています。

≫ 製品紹介サイト

削減対象となる製品ライフステージ

CO2削減貢献量

算定式

CO2削減貢献量=製品1kg当たりのCO2削減貢献量※1×販売数量※2

  • 1世代前の製品が搭載された自動車と比較した際の省燃費効果(抑制できたガソリン量)をCO2換算した値(18.4~40.5kg-CO2/kg)
    前提条件
    • 従来燃費:13.13km/ℓ(国土交通省「自動車燃料消費量統計年報」2023年度分)
    • 燃費削減効果:0.5~1.1%(用途により数値変動あり)
    • 本製品の潤滑油への添加量:12%
  • 対象製品の年間販売数量(トン/年)

算定結果

CO2削減貢献量(WBCSDガイドライン参照)=約 77万トンCO2/年

特殊電子部品用薬剤『サンエレック』

サンエレックは、電解質に独自開発したアミジン化合物を用いる、高性能で高い信頼性と長寿命化を実現したアルミ電解コンデンサ用電解液です。
コンデンサは、自動車などの電子制御装置の中で、電流や電圧を整えて回路動作を安定化させる用途や、電気を蓄えて放出する充電式の電源として使用されています。中でも小さいサイズで多くの電気を蓄えられるアルミ電解コンデンサは、電子回路の主要部品としてさまざまな家庭用家電やデジタル製品に使われており、長寿命化、低インピーダンス化などが要求されるため、電解液の高性能化は不可欠のものになっています。
当社のサンエレックは、広い温度領域で高い電気伝導率を示すとともに、高温での長期安定性に優れ、コンデンサの小型化や長寿命化に貢献しています。

≫ 製品紹介サイト
≫ SANYO CHEMICAL MAGAZINE

削減対象となる製品ライフステージ

CO2削減貢献量

算定式

CO2削減貢献量=
コンデンサの長寿命化による過剰生産抑制効果※1
×当社品を使用したコンデンサの生産個数※2×コンデンサ製造時のCO2排出量※3
  • 過剰生産抑制のメカニズム
    サンエレックは高温(125℃保証)のコンデンサに用いることができるため、低温(105℃保証)のコンデンサに用いられる一般的な3級塩の電解液と比較し、製品寿命が約4倍に伸長する(10℃2倍則を適用し推定)
  • サンエレックを使用したコンデンサ生産個数:215億個
    (市場調査会社による調査資料および当社マーケット情報から換算・算出)
  • データベース値を使用

算定結果

CO2削減貢献量(WBCSDガイドライン参照)=約 13万トンCO2/年

特殊繊維用薬剤『ケミチレン』

ケミチレンは、炭素繊維(CF)を束ねて取り扱い易くする薬剤です。
炭素繊維は、強くて軽いことが特長で、重量当たりの強さは鉄の約10倍、変形しにくさも約7倍に達します。また膨張しにくい上に錆びることがなく、薬品や熱への耐久性、X線の透過性にも優れるなど多くのメリットがあることから、1970年代のスポーツ分野を皮切りに、1990年代には産業用途、2000年代以降は航空宇宙やエネルギー分野など金属に代わる素材としてさまざまな分野で発展・拡大してきました。
しかし炭素繊維自体は、1本数µmの細い繊維から形成されているため単体では切れやすく、繊維を数千〜数万本束ねた太い糸にする必要があります。その際に1本1本の炭素繊維を束ねる役割を果たすのが炭素繊維用集束剤ケミチレンです。ケミチレンは炭素繊維の強さと変形しにくさをより引き出す薬剤として、風力発電設備や輸送機の軽量化などに間接的に貢献しています。

≫ 製品紹介サイト

炭素繊維(CF)

削減対象となる製品ライフステージ

CO2削減貢献量

算定式

CO2削減貢献量=風力発電機1基当たりのCO2削減効果※1×寄与率※2

  • 「風力発電機1基当たりのCO2削減効果」はCFRPを適用した風力発電と電源ミックスを比較した際の削減量(日本化学繊維協会「炭素繊維サステナビリティビジョン2050」)
  • 風力発電機用CFRP向けケミチレンの販売数量から求められる風力発電機台数(市場調査会社による調査資料および当社マーケット情報から換算・算出)

算定結果

CO2削減貢献量=約1,300万トンCO2/年

ケミチレンは、CFRPを適用した風力発電によるCO2排出量削減の一部に貢献しています。