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プロジェクトストーリー

プロジェクトストーリー

データの利活用により
全社に大きな変容を!

インフォマティクスの推進

インフォマティクスの推進

OUTLINE

概要

2019年に個人の活動から始まったマテリアルズ・インフォマティクス(MI)への取り組み。専任チームの結成からインフォマティクス推進部の新設へと段階を踏むなかで、MIは着実に研究部門内に浸透、定着。次は全社的なデータ利活用へ。活動はさらなる広がりを見せている。

MEMBER

メンバー紹介

  • T.M.

    研究業務本部
    インフォマティクス
    推進部
    部長

    T.M.

  • Y.M.

    研究業務本部
    インフォマティクス
    推進部
    ユニットチーフ

    Y.M.

  • Y.T.

    研究業務本部
    インフォマティクス
    推進部
    副主任

    Y.T.

  • K.A.

    研究業務本部
    インフォマティクス
    推進部
    副主任

    K.A.

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個人の想いと社の方針が
噛み合いMIに挑戦!

ストーリー01

MIとは、統計解析や機械学習などデータ科学を活用することで、材料開発を効率化・加速させる取り組みだ。従来の研究開発スタイルにおける実験と物性評価のサイクルを大幅に短縮できる上、研究者が蓄積してきた知識や経験をデータとして残すことができ技術伝承にもつながる。
近年、顧客ニーズの多様化・高度化に伴い研究開発へ求められるスピードがUPしているなど、世の中の状況とも相まって、材料開発を進める上で必須の手段になりつつある。

2019年秋、入社2年目だったY.T.は、各事業部の研究開発を支援する部署のプロセス革新ユニットの一員として製造プロセスの改善を担当。受け持ったテーマが一段落したのを機に、上司に相談を持ちかけた。
「MIに興味があります。ぜひやらせてください」
折しも研究部門内ではナレッジやデジタルの活用を促す方向性が打ち出され、MIへの取り組みを急ぐ声が高まっていた。
「遠からずMI推進のための人財が外部から補充されるだろうが、社内の研究に通じた担当者も不可欠だ。興味があるのなら適任だろうから、どんどんやってみるといい」
研究者個々の「やりたい」を大切にする三洋化成では、こんなふうに担当の枠をはみ出すテーマにGoサインが出ることもめずらしくはない。了承を得たY.T.は早速、MIの先行事例の調査や、機械学習をはじめとするデータ解析のノウハウ習得に着手。それと並行する形で、各事業部の研究開発部門に対し、データ解析を活用することによる支援も開始した。とはいえ、従来の手法を一変させるMIの導入にはそれなりに時間がかかる。常に時間との勝負という側面も併せ持つ研究開発現場の空気にはなかなかなじみにくく、支援を持ち掛けても真剣に取り合ってもらえない状況が続いた。
「時間との勝負だからこそデータ解析がものを言うのだし、同じ時間ではるかに高度な成果を上げることも可能になるかもしれないのに」そう考えると簡単にあきらめるわけにはいかない。一人で壁にもがきながらも、Y.T.の熱意はますます高まっていった。

ストーリー01

突破口となったのは、翌2020年4月、豊富な研究開発の実務経験および社内人脈と実行力を兼ね備えたT.M.が、異動によりプロセス革新ユニットのチーフとなり、同ユニット内に新たに、Y.T.が続けてきたMIへの取り組みを拡大していくためのMI専任チームが結成されたことだった。2か月後には、待ち望んだ外部からの転職による新戦力が加わることも決まった。会社の本気度が示された形となり、Y.T.のこれまでの下地づくりも奏功して各事業部の研究開発部門の対応が前向きなものへと変化していった。

story02 story02

組織的取り組みにより、
短期間で成功事例が。

ストーリー02

2020年6月、予定通り新戦力K.A.がMIチームに合流した。
前職在任中にMIに興味を抱き個人的に勉強を始めたが、その職場ではMI推進の機が未だ熟していなかったというのが、K.A.の転職動機だ。MIに専念できる環境を求めていたK.A.を迎え入れ、MIチームは活気づいた。

ユニットチーフのT.M.は豊富な社内人脈を活かし、各事業部の研究開発部門に強力に働きかけていく。実験のデータ解析による支援が役立ちそうな困りごとを、ヒアリングを通じて掘り起こすことが目的だ。こうして複数のテーマを得たT.M.は同時に、自ら事業部の研究開発部門で開発に取り組んだ経験が豊富だからこそ見えてくる課題も意識していた。「データ解析を自分たちで行えず、その都度MIチームに依頼しなければならないのでは、MIの利点であるスピードが損なわれ、新たな研究開発手法として浸透・定着することは難しい。専門知識がなくてもデータ解析を行えるアプリケーションを提供して、現場主導で回せるようにしなければ」。そうと思い定めれば行動は速い。全メンバーで手分けしてデータ解析を行い、データの質と量が十分で結果が良好だったものについてはK.A.がノーコードアプリを開発し、提供する。各々の得意分野を踏まえた仕事の割り振り方とチームワークにより、みるみる取り組みが進展していった。

ストーリー02

ストーリー02

成果は著しく、年度内には取り組みテーマの数が10をゆうに超え、そのうちのいくつかにおいてはアプリの提供が達成された。現場のMI導入意欲が高ければアプリはたちまち使いこなされ、狙い通り、開発に大きく役立つツールとなっていく。研究開発部門におけるMI導入は目覚ましい勢いで進み、やがて、機械学習を用いてウレタンフォーム原料や粘着剤用アクリルポリマーを開発するなど、従来のノウハウとデータ解析が融合した三洋化成らしいMIの成功事例が生まれ始めた。

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全員の熱い想いが、
全社のデータ活用を加速する。

2021年度にはさらに、データ解析の技術やデータ活用の考え方を全社に広めることを目指す新たな活動を模索。当初からMI推進に取り組み、熱意を燃やし続けてきたY.T.に、その中心的役割が託された。Y.T.は、成功事例や解析のテクニックなどを紹介する社内ウェビナーや有志勉強会の開催を通じて、現場でMIを広めてくれる仲間を増やしつつ、他メンバーと共に研究開発部門外でもMIチームの取り組みについて発表し、データの利活用に対する関心を広く喚起することに努めた。

ストーリー03

ストーリー03

これに前後して、重要なデータ活用基盤となる情報検索ツールの構築も進み始めた。ユニットチーフT.M.は、当時事業部の研究部門で新技術開発を担当していた旧知のY.M.に応援を要請。同年10月、Y.M.はそのままMIチームに異動して、情報検索ツール「Sanyo Data Hub」の構想を立案し、他のメンバーと共に開発をスタートさせた。「Sanyo Data Hub」は、何十年もかけて蓄積されてきて、あちこちに散在する形となっている情報を一元化し、横断的にアクセスできるようにした、いわば夢のツールだ。Y.M.自身、入社以来様々な研究開発を重ねるなかで何度、「そういうツールがあればどんなに助かることか」と思ったか知れない。それをつくる立場に立てたのだから、より良いものをより早くという想いはひとしおだ。ある程度形にできれば早速広く活用してもらいながら、さらにデータを増やしバージョンアップを重ねていくという方針のもと、早々に全社に公開され、運用が始まった。

これらMIチームの精力的な活動が評価され、2022年4月、チームは一気にT.M.を部長、Y.M.をユニットチーフとするインフォマティクス推進部(以下、インフォ推進部)に生まれ変わった。MIは材料を対象としたデータ駆動型の研究開発を指すが、新しい部のミッションは、「研究開発部門だけにとどまらず、全社にデータの利活用によって新たな価値を生み出す流れをつくる」ことだ。このため、材料を示すマテリアルズの語は敢えて部署名から省かれた。

このころになると、データ解析に関してはそれまでの懸命な活動が実って研究開発の各現場に自前の人材が育ち、インフォ推進部と現場との役割分担も明確化。インフォ推進部としてはより困難かつ高度な課題に注力できる体制となってきた。これによって生まれた余力を「Sanyo Data Hub」の運用・機能拡充に振り向け、現在、急ピッチで技術情報以外の全社の情報への拡充を進め、“全社員が簡単に必要とするデータにアクセスできる”基盤の整備が進められている。T.M.の現場重視の姿勢は、ユニットチーフから部長に立場を変えた今も全く変わらない。現場で使ってもらう中で得られるたくさんの気づきを、改善へとつなげていく。「現場に近いところでまわしていくのが他社と一味違う三洋化成のやり方だ。泥臭いけど、最終的には絶対にその方が早い」。

現場に寄り添ってデータの利活用を実践し速やかな課題解決をサポートするという初心を大切に、全社にデータの利活用を定着させて、会社を大きく一変させる。インフォ推進部のメンバーたちの共通の夢が、今後の全社のデータ活用の大きな推進力になろうとしている。