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雨や風を防いで、湿気を逃がす

三洋化成ニュース No.517号

雨や風を防いで、湿気を逃がす

2019.11.05

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透湿防水素材は、外部からの水は通さず、内部の水蒸気だけを外に逃がす不思議な素材。スポーツウェアやレインコートなどに使用され、私たちの快適な暮らしに欠かせないものとなっています。そんな透湿防水素材の機能や製品の特長を紹介します。

スポーツウアやレインコートのほか、幅広い製品に活用

スポーツやレジャーの際などに、衣類の中が汗で蒸れ、不快になった経験はありませんか。このような衣類には、着用時の蒸れ感を低減して快適に活動できることだけでなく、急な雨に備えて防水機能も求められます。そんな時に力を発揮するのが、水は通さずに水蒸気だけを発散させる透湿防水機能。その機能を持った材料が透湿防水素材です。例えばスポーツウェアやレインコートに使用すれば、汗の水蒸気を発散して快適に活動できるだけでなく、雨も防ぐことができます。

透湿防水素材は、基材となる繊維に、樹脂の薄膜(透湿防水膜)を加工したものです。樹脂はフィルム状にして繊維と繊維の間に挟み込んだり、繊維に塗布することで透湿防水性を付与します。そのため、衣類だけでなく、靴やテント、紙おむつ、海外では絆創膏など、水を弾いて湿気を逃がす機能が必要な、幅広い製品に活用されています。

 

穴が開いていないのに、水蒸気を通す不思議な素材

透湿防水膜は、水滴を防ぎながら水蒸気だけを通す通り道を持っています。その種類は、無数の小さな穴が開いている「微多孔膜タイプ」と、穴のない「無孔膜タイプ」の大きく二つに分かれており、それぞれが、その特徴を活かせる製品に使用されます。

「微多孔膜タイプ」は、水蒸気が微細な穴を通って発散する仕組みです。穴が開いているため水蒸気は通しやすいのですが、防水性が落ちるという欠点があります。そのため防水効果を得るには、PTFEなどの撥水素材を用いて、ある程度の厚みを持たせる必要があります。レインウェアなどがゴワゴワしているのはそのためです。

一方「無孔膜タイプ」は、膜の中に水となじむ成分があり、それを介して水蒸気が湿度の高い内部から湿度の低い外部に抜けていく仕組み。水蒸気が素材に染み込み、発散していくイメージです。そのため、親水性成分があり、柔軟で強度を出しやすいポリウレタンなどが使用されています。

穴が開いていない分、防水性に優れていますが、膜が厚いと透湿性が悪くなる弱点があります。ただし、強度を高めることができれば、素材を薄くすることができ、透湿性もさらに高めることが可能になります。

 

 

基材にポリウレタンフィルムを貼り合わせた生地

 

 

ニーズにこたえ、矛盾をクリアした製品

これまで透湿防水機能を持つ衣料用途では、強度が求められる反面、軽さ、薄さ、動きやすさなど相反する機能も求められてきました。こうした矛盾をクリアし、開発されたのが三洋化成の超薄膜型透湿防水素材用ウレタン樹脂「サンプレン H -600」です。「サンプレン H -600」の特長は、膜強度の向上により、膜厚を一般的な材料よりも薄くできること。透湿防水素材の厚さは、強度の関係で20ミクロン程度が一般的ですが、「サンプレン H -600」は14ミクロン程度でも、同様の強度を保つことができます。またポリウレタンを使用した無孔膜タイプのため、圧力をかけても水を通しにくくなっているうえに、膜が薄い分、透湿性も向上。より高い透湿防水効果を発揮することができます。

「サンプレン H -600」は、開発当初から画期的な製品として注目を集め、現在は、高級スポーツウェアや衣料など、付加価値の高い商品に多く利用されています。また、こうした性能が評価され、2019年5月には、一般社団法人近畿化学協会の化学技術賞も受賞しました。

三洋化成では、現在この「サンプレン H -600」をはじめ、環境にやさしいアルコール系溶剤を使用した、環境対応型の「サンプレンLQ -860」など、用途に合わせた5つのラインアップがあり、幅広いニーズに対応しています。今後は産業資材分野や医療分野など、これまでとは違う領域も視野に入れながら、幅広いお客様の声に耳を傾け、より高性能な製品開発を進めていきます。

 

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