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大腸疾患の検査や 治療を支える -腸管内を効率よく洗浄

三洋化成ニュース No.510号

大腸疾患の検査や 治療を支える -腸管内を効率よく洗浄

2018.09.01

近年、増加傾向にある大腸がんや大腸ポリープなどの大腸疾患。その検査や治療には、事前の腸管洗浄が欠かせません。今回は、腸管洗浄剤に使用される水溶性高分子(PEG)がどのように役立っているかを紹介します。

 

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増加する大腸疾患と検査の重要性

大腸疾患には、大腸がん、大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎、クローン病などがあります。大腸がんは1970年代後半から増加の一途をたどり、近年は年間約12万人が患っており、日本で二番目に多いがんとなっています。

がんの早期発見やこれらの疾患の治療のためには検査が必要です。大腸疾患の検査は、一般的にまずスクリーニングのための便潜血検査を行い、そこで異常が見つかれば精密検査を行います。精密検査には、大腸内視鏡検査、大腸C T検査、大腸X線バリウム検査、大腸カプセル内視鏡検査などがあります。

精密検査や大腸手術の前には、腸管内をきれいにするために腸管洗浄を行います。洗浄が不十分だと病変の見落としや誤認、手術後の吻合不全や感染症のリスクにつながるため、腸管洗浄はきちんと行わなければなりません。

 

より安全で洗浄効果の高い腸管洗浄へ

腸管洗浄は、食事制限に加えて、腸管洗浄液(剤)を飲んで腸管を洗う腸管洗浄を併用する方法が主流です。その際に排液が透明になるまでか、あるいは規定された服用量に達するまで繰り返し飲み続ける必要があります。

初期の腸管洗浄は、腸の働きを促すための下剤と浣腸による処理が行われていましたが、体の負担が大きい割に、洗浄効果が不十分でした。次に用いられた電解質水溶液を飲む方法は、10㍑を超える量を飲むのが大変なうえ、かなりの水やナトリウムイオンが体に吸収され、腎臓や心臓の負担も大きいことが難点でした。近年は、より安全で洗浄効果の高い、PEG(ポリエチレングリコール)含有電解質製剤を使った腸管洗浄が主流となっています。

 

吸収されにくく排出されやすいPEG系腸管洗浄剤

腸管洗浄剤に求められる機能は、大きく分けて三つあります。①腸管洗浄が迅速・簡便で洗浄効果が高いこと、②代謝・吸収されにくく排出が容易なこと、③飲みやすいことです。PEG系の腸管洗浄剤は、PEG、電解質、水などからなり、1980 年にDavisによって開発された処方※が基本となっています。体液の水分や電解質バランスを考慮して電解質の種類や濃度を調整し、PEGを加えたものです。

PEGは酸化エチレンの重合体で、水溶性の高分子です。腸管内に水分を保持することができるため、糞便をより軟らかくして排出できるのが特長です。また、PEGは代謝、吸収されず、そのまま体外に排出されます。そのため洗浄剤の水分や電解質がほとんど体内に吸収されないので、体液のバランスを崩しません。服用量も2〜4㍑以下で、昔の電解質水溶液を使用する方法と比べて大幅に減少しています。

※(参考)Davisの開発した処方例(「Davis GR, Ana SCA, Morawski SG et al:
Gastroenterology 78: 991-995」より) 塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸水素ナトリウム、無水硫酸ナトリウム、PEG、水

 

三洋化成が提供する医薬品用PEG『マクロゴール』

三洋化成は1960年に日本で初めてPEGを製品化しました。PEGは、製品の水分を保持したりとろみをつけたり、ほかの水溶性成分を溶かしたりなどの目的で、医薬品、スキンケア製品、ヘアケア製品などさまざまな用途に使用されています。分子量によって液状、ワセリン状、固体状があります。

医薬品用の日本薬局方(局方)または医薬品添加物規格(薬添規)に収載された規格を満たすPEGは『マクロゴール』として製造販売されており、腸管洗浄剤のほかに、軟こう基剤、座薬基剤、錠剤のコーティング剤、錠剤用バインダーなどに使用されています。これら医薬品用のPEGは、安全性、品質を確保する必要があります。三洋化成の医薬品用『マクロゴール』は、製造設備や品質管理における厳しい基準(GMP:Good ManufacturingPractice)に準拠した管理体制の下、製造されています。

 

負担を軽減する体外診断用キットも

有用な大腸内視鏡検査ですが、その頻度が高くなると、都度行う腸管洗浄を含め、患者の負担は大きくなります。近年、日本で急激に患者数が増えている潰瘍性大腸炎は、根本的な治療法が確立されていない難病のため、薬などによりたとえ症状が抑えられていても長期間にわたり定期的な内視鏡検査を必要とします。

三洋化成は、このような潰瘍性大腸炎に対して、病態把握時の内視鏡検査の回数を減らすことで、患者の負担をできるだけ軽くすることができる便検査キット『カルプロテクチン モチダ』も取りそろえ、持田製薬㈱を通して販売しています。

三洋化成は、大腸疾患に限らずさまざまな疾患に対しても患者の負担軽減、検査・治療に役立つ製品を開発し、社会に貢献していきます。

 

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