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脚下照顧(きゃっかしょうこ) ― 足裏で感じる京の道―

三洋化成ニュース No.512号

脚下照顧(きゃっかしょうこ) ― 足裏で感じる京の道―

2019.01.10

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両足院

 

初来日した1969年の20歳までは、アメリカで生まれ育ちました。日本は初めてなので驚くことがいっぱいありました。最も大きな驚きの一つは、足の裏から情報が入ってくることでした。

アメリカ人は朝起きるとシャワーを浴び、寝室で服に着替えてから靴を履きます。一日ずっと靴を履いている状態です。従って、家の中でも外にいても、足の裏から情報が入ってくることはほとんどありません。

しかし、日本での生活が始まると、家の中では、畳や台所のピータイル、そして太陽の当たる温もりのある縁側、また一歩外に出ると土や砂利道など足の裏で感じる感覚が、私に新しい人生の豊かさを与えてくれました。

そこで、今回の「京歩き」のテーマは、私が大好きな散歩コースを、皆さんが普段何気なく感じている、足の裏の感覚を感じていただきながら歩くことをテーマにしてみたいと思います。

スタートは、日本で一番古い禅寺の建仁寺にある塔頭、両足院から。ここは朝7時半から座禅が組めるので、よく海外から友達が来ると連れていきます。どうぞ、ここでは皆さんも、靴も靴下も脱いで、静かな美しい庭に向かって座禅を体験してください。きっと普段と違った新鮮な足裏からの木や畳の感触に、新たな発見をすることができると思います。

座禅の後は、「今に生きる」という副住職の法話を聞き、心を落ち着かせます。心がリセットできたら早速、今日の散歩に出かけましょう。

 

花見小路

 

朝一番の花見小路は別世界のようで本当に美しい。ここはずっと石畳が続くので、足の感触も意識してみてください。ちなみに石畳は英語で〝flagstone〞。イメージできますか? またどこかで使ってみてください。

八坂神社でお参りをしたら、日本で最も古い国民公園、円山公園に向かいます。ここで大好きなのは、砂利の感触を足裏で感じながら歩くこと。大胆に東山連峰を借景とした円山公園は、山肌に見えるお寺の屋根や美しい紅葉や桜が背景に映るなど、季節ごとに写真を撮りたくなる風景が広がります。

 

八坂神社

 

ねねの道に入りましょう。ここも石畳ですが、私のお薦めは、ねねの道を少し歩くと出てくる圓徳院。昔ねねがここで暮らし、毎日高台寺にある秀吉のお墓参りをしていたという場所です。なかでも一番見てほしいのは圓徳院の美しい庭です。近くに有名な観光地も多いので圓徳院に立ち寄らない人も多いのですが、ぜひ訪れて庭を眺めてください。驚くほど静かなひとときを味わうことができ、きっと皆さんこう言うでしょう。
「あぁ、日本に京都があってよかった!」と。

圓徳院

 

散歩の終わりは美味しい珈琲で締めくくり。二年坂の階段を降りると古い数寄屋造りの家を改造したスターバックスがあります。ここでももちろん足裏の感触を忘れずに。なぜって? なんと2階の部屋に畳敷きの和室があり、靴を脱いで珈琲が楽しめるからです。

足裏の感触に感動し京都で50年。スターバックスまで畳の良さを知ったとなるとそろそろアメリカに帰りましょうか? 散歩も私の人生もまだまだ歩き慣れた道とはいきませんが、振り返り反省しながら、もうしばらく楽しんでみようと思います。

 

〈ジェフ・バーグランド〉

京都外国語大学国際貢献学部グローバル観光学科教授。
専門は異文化コミュニケーション。アメリカ・サウスダコタ州生まれ。
江戸時代後期に建てられた京町家に暮らし、執筆・講演・メディア出演多数。
2014年京都国際観光大使に就任。
KBS京都の『JEFF@KYOTO おもてなし京都観光』は、YouTubeでも配信されている。

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