2000年代以降、企業活動のグローバル化の進化に伴い、さまざまなサプライチェーンを通じた原材料調達が行われるようになると、そうした企業活動が、思いもよらぬ国や地域の労働や人権に影響を及ぼすことが注目されるようになりました。そのため、企業に対して人権を尊重する経営を求める動きが加速しました。
三洋化成グループはVision「2030年のありたい姿」として「全従業員が誇りを持ち、働きがいを感じるグローバルでユニークな高収益企業に成長する」を掲げています。一人ひとりの人権を理解し、個性や価値観を認める土台があってこそ、多様な人財の活躍につながると考えています。また、世界のさまざまな地域で事業活動を進めていくためには、事業活動にかかわるステークホルダーやサプライチェーン全体における労働に関する権利も含めた人権課題への取り組みが求められています。こうした考えのもと、2023年3月に当社グループ「人権方針」を策定しました。今後は、社内外における人権リスク低減のために積極的に情報開示し、人権デュー・ディリジェンスや救済の仕組み構築などの取り組みを進めます。

人権方針

当社グループの人権方針は以下の通りです。

三洋化成グループの人権方針

1. 基本的心構え

企業活動がグローバル化する中、企業に対しても包摂的な社会づくりの視点から人権侵害をなくすための取り組みが求められています。三洋化成グループは、全ての人々の人権を尊重する経営を行い、自らの事業活動が人権に負の影響を与える可能性を認識するとともに、顧客、ビジネスパートナー、サプライヤーおよび行政等とも協力し、そうした負の影響の回避に取り組むことで投資家や顧客等、幅広く社会の評価を得ることにつなげていきます。また、多様なステークホルダーと連携し、社会的弱者の支援に協力します。

2. 適用範囲

本方針は、三洋化成グループのすべての役員および従業員に適用されます。また、三洋化成グル ープは、顧客、ビジネスパートナーおよびサプライヤーに対して、本方針への支持と、同様の取り組みへの参画を期待して継続的に働きかけ、協働して人権尊重の取り組みを推進します。

3. 人権尊重の責任

三洋化成グループは、自らの事業活動において影響を受ける人々の人権を侵害しないこと、また自らの事業活動において人権への負の影響が生じた場合は是正に向けて適切に対処することにより、人権尊重の責任を果たします。顧客、ビジネスパートナーやサプライヤーにおいて人権への負の影響が引き起こされている場合には、適切な対応をとるよう求めます。

4. 適用法令の遵守

三洋化成グループは、以下の文書により定められたものを含め、国際的に認められた人権に関する規範や各国の法令の理解に努めます。各地域の国内法令が国際的に認められた人権に関する規範と両立しない場合には、後者を尊重する方法を追求します。

  • 国際人権章典 世界人権宣言と国際人権規約(自由権・社会権)
  • ILO(国際労働機関)中核的労働基準(児童労働、強制労働、結社権と団体交渉、雇用差別関係等)
  • 国際連合「ビジネスと人権に関する指導原則」
  • OECD多国籍企業行動指針
  • 国連グローバルコンパクト(人権・労働・環境・腐敗防止に関する10原則の企業の自発的取組)
  • ISO26000「社会的責任に関する手引き」
  • 日本政府「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」
  • 英国現代奴隷法

5. 人権デュー・ディリジェンス

三洋化成グループは、人権への負の影響を特定する人権デュー・ディリジェンスの仕組みを構築し、予防的に調査・把握を行い、適切な手段を通じて是正し、自社が社会に与えうる人権への負の影響を防止または軽減することに継続的に取り組みます。

6. 人権リスクの特定

三洋化成グループは以下の3点を顕著な課題として特定し、これらの人権課題について、取り組みを進めていきます。

  • サプライチェーン上の労働
  • 従業員の安全と健康
  • 地政学的情勢や紛争の影響による人権リスク

7. 予防策と軽減策

三洋化成グループは、思想、信条、年齢、社会的身分、国籍、出身、民族、宗教、移民、性別、性的指向、性自認、妊娠、貧困、疫病及び障害の有無等の理由による差別や個人の尊厳を傷つける行為は行いません。また、それらの理由による差別や個人の尊厳を傷つける行為に苦しむ社会的弱者が抱える課題の把握に努め、行政や自治体、社会福祉団体等の多様なステークホルダーと連携し、その支援に協力します。

8. 是正・救済措置

人権侵害が経営上のリスクとなることを十分に認識し、人権侵害を予防し、万一人権侵害があった場合は、これに公正・適切に対応し、児童労働や強制労働には反対するだけでなく、それらによって製造されたと思われる原材料等は使用しません。また、匿名で通報可能な社内従事者用の通報窓口を設置し、通報者や通報内容の秘密を適切に取り扱い、必要な処置を講じます。通報者に対する不利益な取り扱いや報復を禁止し、通報者の保護を徹底します。

9. 教育

三洋化成グループは、本方針に関する正しい理解が社内外に浸透し、効果的に実行されるよう、適切な教育を継続的に行います。

10. 情報開示・エンゲージメント

三洋化成グループは、人権尊重に関する取り組み状況について開示します。また、社内外の様々なステークホルダーとの対話や協議を通じて、本方針に基づく一連の取り組みを進化させていきます。

制定日:2023年3月

人権デュー・ディリジェンス

今回策定した「人権方針」の中に人権デュー・ディリジェンスを掲げており、取り組みを強化します。

サプライチェーンにおける人権配慮

サプライヤーを対象として、2022年1月に改定した「サステナブル調達ガイドライン」にサプライチェーンにおける人権配慮を明記し、周知を図りました。今、世界では、以下に代表されるようなサプライチェーン上で想定される人権問題が注目されており、自らの事業活動を通じて直接的、間接的にかかわらず人権侵害への加担や助長につながることに関わらないように活動します。

原料調達においては、国連が定める「ビジネスと人権に関する指導原則」に詳述されている手順に従うよう努めます。

サプライチェーン上で想定される人権問題

※横スクロール出来ます。

人権教育・啓発

当社グループは前記の「人権方針」に関する正しい理解が社内外に浸透し、効果的に実行されるよう、適切な教育を継続的に行うことを、本方針の中で明示しています。2023年度は以下の取り組みについて検討・実施します。

  • 従業員などへの人権教育・啓発
  • 人権デュー・ディリジェンス検討
  • 人権問題発生時の是正・救済措置
  • サプライチェーンでの購買前提条件化の検討

ハラスメント防止

当社ではハラスメントのない職場環境の実現に向けて、ハラスメント防止のための啓発やセミナーなどのさまざまな取り組みを行っています。今後とも継続的にハラスメントに関する知識や対応能力を向上させ、「ハラスメントをしない、許さない、傍観者にならない」ことを強く決意し実行するとともに、「コミュニケーション豊かな風通しのよい職場」「ハラスメントのない、安全で働きやすい職場」づくりにつとめていきます。当社グループは、多様な人財、多様な価値観を持った従業員が誇りを持ち、安心して働くことができる会社であることを目指します。
内部通報窓口とは別に、特にセクハラ・マタハラ・LGBTQに関する案件については、より相談がしやすいように社内のダイバーシティ推進部の他、ハラスメント相談に経験を積んだ2カ所の社外機関にも相談窓口を設けています。
2022年度の利用件数は4件でした。通報者に不利益が生じないよう、細心の注意を払って事実関係を調査し、問題が確認された場合には、対象者への指導、是正に向けた教育などを実施しました。また、イントラネットを活用して、全従業員への注意喚起を行いました。