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昔懐かしい「国鉄旅情」を楽しもう! -長良川鉄道-

三洋化成ニュース No.528号

昔懐かしい「国鉄旅情」を楽しもう! -長良川鉄道-

2021.09.15

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文・写真=鉄道写真家 中井精也

夕方の光に長良川が美しく輝く。光と影の強いコントラストに、列車の屋根がキラリと光った(2014.10.27/赤池駅付近)

 

今回ご紹介するのは、高山本線の美濃太田駅から北濃駅を結ぶ第三セクター路線「長良川鉄道」です。もともとは国鉄の越美南線という赤字線で、福井駅から九頭竜湖に延びる越美北線と結ばれて「越美線」になるべく建設されましたが、険しい山々とモータリゼーションの波に阻まれ廃止になり、第三セクター長良川鉄道として生まれ変わりました。福井への全通の夢はかないませんでしたが、結果として72.1キロメートルという長大な盲腸線となったこの路線は、長良川流域の絶景や、昔ながらの国鉄旅情を思う存分楽しめる、乗りごたえ抜群の路線なのです。

 

車窓いっぱいに広がる長良川の絶景

上の写真は夕日に輝く長良川と列車をドラマチックに撮影したもの。列車が暗い背景に溶け込んでしまいそうな状況でしたが、きっと屋根が夕日に輝いてくれるだろうと判断。川面の輝きに露出を合わせて、全体をローキーで撮影しましたが、予想通り列車の屋根が輝き、車両の存在感を残してくれました。この鉄橋は、赤池駅から歩いて撮影できるおすすめのポイント。駅を挟んだ両側に鉄橋がありますが、美濃太田側の鉄橋のほうが撮影しやすいでしょう。駅を降りて3分ほど歩けば、河原に出られますので、長良川の清流と列車をお手軽に撮影することができます。

3ページ右上の川の中まで写っている不思議な写真は、美濃白鳥〜白鳥高原にある鉄橋で撮影しました。どうして川の中まで写せたかというと、カメラを半分水に沈めた…のではなく(笑)水槽にカメラを入れ、その水槽をレンズの半分くらいの高さまで水に沈めて撮影しています。沈めすぎると、水槽の上から水がザバ〜っと入ってカメラが壊れてしまいますので、自己責任でお楽しみくださいね。そうそう、iPhoneなど最近のスマホは防水なので、そのまま川に半分沈めて同じような撮影をすることもできますよ。

鮎になった気分で、清流越しに列車を眺める(2006.8.8/美濃白鳥~白鳥高原)

 

情熱あふれる「じょうおどり」の里

途中の郡上八幡は、伝統的な盆踊り「郡上おどり」が有名です。簡単に言えば盆踊りなのですが、そんじょそこらの町内会の盆踊りとはレベルが違います。なんと毎年7月から9月上旬にかけて、32日間も開催され、特にお盆の時期には夜から朝まで踊り続ける「ぼん(徹夜踊り) 」 が行われます。一晩中盆踊りって、スゴいエネルギーですよね。それもまぁほんの一部の熱狂的な人たちの話だろうなぁ…と郡上八幡駅前の盆踊り会場に撮影に行ったら、なんと駅員さんまで制服のまま踊っていて、郡上おどりの本気を見た気がしました(笑)。コロナ禍で中止が続いていますが、来年の夏には、また情熱的な盆踊りを撮りに行きたいなぁ。

郡上おどりには駅員さんも参加(2012.8.8/郡上八幡駅)

 

車窓から探す自分だけの小さい秋

長良川鉄道の魅力は、長良川の絶景だけではありません。沿線のここかしこに、昔懐かしい「国鉄旅情」と、ほのぼのした秋の風景が展開します。まず駅舎でおすすめなのは大矢駅。この駅には国鉄時代から使われている木造駅舎が健在で、反対ホームへの移動も渡線橋ではなく線路を渡るという昔ながらのスタイル。まるでタイムスリップしたかのような風情を味わえます。また美濃市付近は岐阜県の特産品「富有柿」の産地で、11月頃になると車窓からたわわに実った柿を望むことができます。3ページ左中の写真は、梅山〜湯の洞温泉口で撮影した富有柿と列車。ここでは線路の両側に柿畑が広がり、秋ならではの車窓を楽しむことができます。3ページ左下の写真は、関富岡〜関口で見つけたコスモス畑。絶景もいいけど、 こういう 「小さい秋」を探すのも、ローカル線の旅の楽しみなのです。

富有柿を望みながら(2019.11.30/梅山~湯の洞温泉口)

 

とってもすてきな小さい秋(2014.10.13/関富岡~関口)

 

沿線の魅力を五感で味わう観光列車

ぜひ乗ってもらいたいのが沿線名物や車窓風景を堪能できる観光列車「ながら」号。この列車に使われるのは「ななつ星in九州」などを手がけた水戸岡鋭治氏のデザインによる特別車両で、長良川の沿線風景に映えるロイヤルレッドの外観と、岐阜県産の木材をふんだんに使ったぬくもりのある内装がとってもすてき。そして! 車内では、沿線の特産品グルメを楽しむことができるんです。9月から10月にかけてのおすすめは、車内で長良川の鮎料理をいただける「鮎料理列車」 。鮎をふんだんに使った料理のほか、先ほどご紹介した大矢駅ホームで、焼き立ての鮎が振る舞われるというサプライズも! 個人的には郡上八幡のイタリアンレストランの特製スイーツが堪能できるプランがおすすめです。長良川の清流を眺めながらのスイーツは、もう最高ですよ♡

燃えるような紅葉を背景に走る「ながら」号(2019.12.1/自然園前駅付近)

 

観光列車「ながら」の車内(2020.3.27)

 

車内では沿線グルメを堪能(2020.3.27/ 観光列車「ながら」)

 

 

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〈過去にゆる鉄ファインダーでご紹介した写真をこちらからご覧いただけます〉

 

〈なかい せいや〉1967年東京生まれ。鉄道の車両だけにこだわらず、鉄道に関わる全てのものを被写体として独自の視点で鉄道を撮影する。広告、雑誌写真の撮影のほか、講演やテレビ出演など幅広く活動している。著書・写真集に『1日1鉄!』『デジタル一眼レフカメラと写真の教科書』など多数。株式会社フォート・ナカイ代表。公益社団法人日本写真家協会(JPS)会員、日本鉄道写真作家協会(JRPS)会員。

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