三洋化成グループは化学品を製造販売する事業活動において、製品設計・開発~原材料調達・製品製造~輸送~製品使用~最終廃棄に至る一連のライフサイクルで、自然資本の消費、GHGや有害物質の排出など生物多様性に負のインパクトを与える一方、提供する製品が環境負荷の低減や改善に貢献するという正のインパクトも持っていると認識しています。生産活動での省エネ・GHG排出量削減や汚染物質の排出削減、製品使用時の省エネ・GHG排出量削減、廃棄に際しては製品中の有害物質の含有量低減や生分解性素材の使用、環境ホルモン物質の不使用など、ライフサイクルの各ステージで負荷低減につとめることが、間接的ではありますが生物多様性の損失を防ぐことにつながると考え活動してきました。
2009年にはレスポンシブル・ケアに関する経営方針に生物多様性を追加して改定するとともに、京都モデルフォレスト運動の趣旨に賛同し「三洋化成の森」づくり活動を開始し、継続しています。

方針

レスポンシブル・ケアに関する経営方針に「生物多様性の保全への理解と認識を深め、生物多様性に配慮した活動を推進」することを掲げ、生物多様性に関する活動方針を定めています。

生物多様性に関する活動方針

当社グループは、事業活動が生物多様性に影響を与えることを認識して、生物多様性の保全への理解と認識を深め、生物多様性に配慮した活動を推進します。

  1. 環境に配慮した製品開発に努め、これらの提供・普及を通じて生物多様性の保全に貢献します。
  2. 原材料や資材、事務用品などの調達において、生物多様性保全への配慮に努めます。
  3. 温暖化ガスの排出、水資源の利用、化学物質や廃棄物排出など事業所からの環境負荷を低減し、生物多様性への影響低減に努めます。
  4. すべての社員の生物多様性への理解と認識を高め、生物多様性保全の意識の向上に努めます。
  5. 地域社会と連携した取り組みを推進します。

(2013年制定)

参画しているイニシアチブ

経団連 生物多様性宣言イニシアチブ

RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)

  • RSPO:熱帯雨林の伐採やそれに伴う野生生物の生息地縮小などの環境問題や、農園における劣悪な労働環境・人権問題に配慮し、持続可能性を確保したパーム油生産を行うため、WWF(世界自然保護基金)が中心となり2004年に設立されたNGO。パーム油の生産や利用について原則や基準を定め、2007年からパーム油の認証制度を運営している。パーム油の生産者のみならず、トレーダー、加工業者を含むサプライチェーン全体から幅広いメンバーが参加している。

教育・研修

従業員のボランティアによる「三洋化成の森」づくり活動では、森林整備、生物観察や森林学習を行って生物多様性意識の向上を図っています。また2010年からは、新入社員研修に森づくり活動のカリキュラムを取り入れ、入社後1回は体験させるようにしています。2009年の活動開始以降、従業員はのべ2,019人、うち新入社員研修ではのべ576人参加しました。この他、活動内容や生物多様性についての基礎的な記事などを掲載した社内報「森守り通信(もりもりつうしん)」をイントラネットに配信し生物多様性について啓発を行っています。

活動方針に対するアクション

製品による生物多様性への貢献

省エネ・エネルギー効率アップ、高耐久性・長寿命化(省資源)、節水、有害物除去、有害物不使用、生分解性などの側面を持ち、生物多様性に資する製品群を開発・上市しています。

主な製品群はこちら

遺伝子組み換え生物を利用したタンパク合成は、生物が環境に拡散しないようバイオセーフティを確実に行っています。また、新しく展開しようとしているアグリ・ニュートリション(農業)分野では、植物にとって必要な成分(ペプチド、アミノ酸など)を効率的な方法で植物に届け、植物が本来持っている収量・品質ポテンシャルを最大限に引き出すことで、環境負荷の高い肥料や農薬の使用低減につなげる検討を行っています。肥料や農薬の使用低減はこれらを製造する際の環境負荷が減るだけでなく、過剰な使用による対象生物以外の生物への悪影響が減る効果も期待できます。

原材料調達

当社は、界面活性剤工業として創業した当初から油脂類など生物由来原料を取り扱ってきました。その後石油化学工業に範囲を広げたため、生物由来原料の比率は低下しましたが、現在でも相当量の生物由来原料を使用しています。
使用する原料について、生物由来の該非と起源となる生物種を把握しています。油脂や高級アルコール、脂肪酸(誘導体)などは、アブラヤシ、ココヤシ、ナタネ、大豆、牛、豚などが起源のものを購入しています。2023年度からは、化粧品用原料にRSPO認証を得たパーム油由来原料の調達を開始しています。
当社グループでは、サステナブル調達ガイドラインに生物多様性保全と持続可能な利用を明記してサプライヤーに提示して理解を求め、CSRアンケートでサプライヤーの状況を確認しています。

環境負荷低減

環境活動計画に沿った環境負荷低減活動、製品の化学組成設計での環境配慮、対応製品の提供を通じて、生物多様性へのリスク低減につとめています。

従業員の意識向上、地域社会との連携

三洋化成の森づくり活動(京都府相楽郡和束町湯船地区)

公益社団法人京都モデルフォレスト協会の森林づくり基金に資金提供し、京都府相楽郡和束町内での間伐事業により森林の健全な育成に貢献しています。この事業は生物種の保全や森林によるCO2吸収量増加、水源涵養、水害防止につながります。
また地元の和束町他と連携して、従業員やその家族、OBが湯船森林公園の森林整備などにボランティアとして参加し、生物多様性への意識向上とともに地域社会とのコミュニケーションを図っています。
この他、毎年、経団連自然保護基金へ寄付を行っています。

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