マテリアリティ特定の考え方

三洋化成グループでは、マテリアリティの定義を「三洋化成グループの中長期での価値創造に大きな影響を及ぼす重要課題」と位置付けています。当社グループが定めるすべてのステークホルダーの価値創造のため、中長期テーマを特定して優先的に取り組むことが価値創造への最短距離と考え、以下1〜4のプロセスをたどってマテリアリティを特定しました。

プロセス1:課題の特定

各種ガイドライン[SASBの化学産業の評価基準、GRIガイドライン、持続的な開発目標(SDGs)、世界経済フォーラム中核指標(WEF)]、ステークホルダーとのコミュニケーション、全従業員・役員向け社是アンケートなどを参考に課題を選定しています。

プロセス2:優先順位付けとマテリアリティ・マトリックスの作成

特定した課題の優先順位を考え、企業理念や財務への影響、イノベーション創出の機会、三洋化成グループらしさなどを大株主や従業員などとの対話から優先順位付けをし、横軸に経営および事業目線、縦軸に社会環境課題解決への期待・貢献でマトリックスを作成しています。

プロセス3:マテリアリティの特定

E(環境)、L(生命/生活)分野を事業に関するマテリアリティとし、S(社会)、G(ガバナンス)分野を基盤強化に関するマテリアリティとして、計6つを特定しています(QOLの向上に関する期待・貢献の象徴として従来のESGからLの分野を切り出し分類)。

プロセス4:妥当性の確認および取締役会での承認

サステナブル経営委員会で妥当性の確認などの審議を経て、取締役会で承認を受けています。また、今後起こりうる事業環境の変化に応じて、見直していきます。

将来の事業環境の認識

  • 米国のパリ協定離脱により、脱炭素化に向けた国際的な足並みや進展速度に影響が生じる可能性はありますが、世界全体としては持続可能な社会の実現に向け、カーボンニュートラルを目指す流れは今後も変わらないと予想されます。
  • 少子高齢化が進む現代社会では、労働力人口の減少や医療・介護の負担の増加が深刻な課題となっています。そのため、単に寿命を延ばすだけでなく、高齢者を含むすべての人が心身ともに健康で充実した生活を送れるよう、QOLの向上がますます重要となっていきます。
  • グローバル化や技術革新が加速する中で、価値観や働き方、顧客ニーズは一層多様化しており、従来の画一的な組織や発想では持続的な成長が難しいと認識しています。多様な人財や視点を積極的に取り入れることで、変化に柔軟に対応し、イノベーションを創出し続けることが企業競争力の源泉になると考えられます。
  • 昨今の品質不正問題により社会の企業を見る目はますます厳格化しています。また社会や市場の変化は激しく、予測困難なリスクも増大すると予想されます。よって、リスクマネジメント体制やコーポレート・ガバナンスの強化は今後も必須であるとともに、ステークホルダーの要望に応じて適切に企業情報を開示することが求められています。

三洋化成グループのマテリアリティ

事業に関するマテリアリティ

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分類 機会とリスク
(〇機会/●リスク)
どのように取り組むか
目標/【KPI(実績)】
関連ページ
E
(環境)
CN Interface Innovatorとしてカーボンニュートラルの達成
  • ◯脱炭素に適した素材への需要シフト
  • ◯循環型経済への移行加速や脱炭素社会に向けた革新技術の登場
  • ●気候変動に対するカーボンプライシング等の政策による規制強化に伴う業績悪化
界面制御技術を活かしたカーボンニュートラルへの貢献 統合報告書
「社長メッセージ」
L
(生命/生活)
QOL 「はたらき」を化学してQOLを向上
  • ◯予防医療と健康増進ニーズの高まり
  • ●社会ニーズへの対応不足による業績悪化
新たな技術を駆使したメディカル分野における価値創造
人の生活に密着した新たな価値創造
  • CNCarbon Neutrality:カーボンニュートラル
  • QOLQuality of Life:生活の質

基盤強化に関するマテリアリティ

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分類 機会とリスク
(〇機会/●リスク)
どのように取り組むか
目標/【KPI(実績)】
関連ページ
S
(社会)
IN 産業/文化/教育の価値創造を下支えしてイノベーションを創出
  • ◯地域社会との共生、異分野コミュニケーションを通じたビジネスチャンスの創出
  • ●化学力低下、地域産業衰退に引き起こされる日本の競争力低下・市場縮小による業績悪化
「化学のちから」を活かし、化学分野の枠に捉われない新たな分野への挑戦
  • 特長ある化学品とニーズをつなぐマッチングプラットフォーム「UQ Chem」サービスの推進
  • さまざまな京都伝統産業の下支えのための技術・資金貢献(三洋化成社会貢献財団)
  • 異分野との協業・アライアンス、スタートアップへの出資の積極的推進
  • DX、MI(マテリアルズ・インフォマティクス)の推進
  • 小中学校への化学の出張授業、京都超SDGsコンソーシアム参加
HC 多様な価値観を認め合って人財育成と職場環境を向上
  • ◯多様化による新たな価値創造
  • ◯職場風土改革による従業員エンゲージメントの向上
  • ●価値観・働き方の多様化への対応不足による従業員エンゲージメントの低下、および人財の獲得難・流出
多様性を重視した経営(DEI) 全従業員がワクワクして取り組める風土へ
  • 女性活躍推進【女性管理職比率 2025年度6%以上(2024年度5.0%)】
  • LGBTQ理解促進
  • イクボス宣言、イクボス企業同盟加盟 【男性育休取得率 2025年度100%(2024年度92.5%)】
  • 健康経営の推進
  • 経営陣と従業員のコミュニケーションの充実: 朝会(全従業員への講話)、合宿(本部長との議論)、道場(管理職等への伝承)、サロン(中堅・若手従業員との対話)、くるま座(上下関係なく自由に意見交換できる場)
  • 障がいのある従業員も働ける職場環境の整備 【障がい者雇用率 2026年度2.7%以上(2025年6月1日時点2.5%)】
≫ ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DEI)
≫ 働き方改革
≫ 健康経営
G
(ガバナンス)
RM ガーディアン機能を強化してリスク管理を徹底
  • ◯高品質な製品の安定供給による業績向上
  • ◯ステークホルダーの信頼獲得による企業価値の向上
  • ●内部統制の機能不全に伴う事業継続リスク、予期せぬ損失の発生、信用の低下
  • 生産と品質保証の独立体制による品質ガバナンスの強化
  • 企業価値毀損の高い重大リスクのマネジメント体制構築
  • 法令遵守体制の強化
  • 安全教育センター活用による安全衛生体制の強化
≫ リスクマネジメント
TM 挑戦を恐れない透明性のある経営
  • ◯ステークホルダーの信頼獲得による企業価値の向上
  • ●コーポレート・ガバナンスの機能不全に伴う信用の低下、企業価値の低下
  • WakuWaku経営推進
    従業員一人ひとりにスポットライトを当てる
    プロフィットを意識したOne Teamの強い骨格を作る
    すべてのステークホルダーのワクワクを引き出す
  • 取締役会の多様性
    【女性比率≧30%への引き上げ(2025年6月20日時点22.2%)】
    【独立社外取締役比率: 取締役会≧1/3(2025年6月20日時点3/9)】
  • 非財務情報およびコーポレート・ガバナンスの開示充実
  • 株主・投資家・従業員等ステークホルダーとの対話の充実
  • サステナブル経営の強化

≫ 統合報告書
「経営方針と経営手法」

≫ コーポレート・ガバナンス

  • INInnovation:イノベーション
  • HCHuman Capital:人的資本
  • RMRisk Management:リスク管理
  • TMTransparent Management:透明性のある経営